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──────放課後。



「なゆちゃん、帰ろ!」



誘ってくれた斉藤くんに、あたしは無意識に「今日はむり、ごめん……」と断っていた。


ハッとして、「放課後、先生に呼ばれてて」と嘘までついてしまって。




そっか……と残念そうにする斉藤くんを見ながら、またのどの奥がぎゅっとなった。



みんなが教室を出ていっても、帰らないあたし。


どこかで期待してる自分に気づく



全校集会も無事終わったし、利人が迎えに来てくれるんじゃないかって……。




約束もしてないのに、バカなんじゃないのと思う。

それでも待ってた。


30分。

1時間……。




当たり前だけど、最後まで教室の扉が開くことはなかった。