でもそんなこと言えないから、こっちも同じような笑顔を返す。
「今日たまたまお仕事休みだったみたいで送ってくれたんだ〜。目立つのやだって言ったのに」
そう、まさにこうなるからいやなの。
「えー、いいじゃん! かっこいいし!」
「そーそ! どっかの学園ドラマっぽかった!」
心が疲れてるのか、笑ってても顔の筋肉がぴくぴく引き攣る感覚がする。
もう、あたしの家の話はいいじゃん……。
そう思ったとき。
「なゆ! ……ちゃん、おはよ!」
あたしと男子4人組の間に割り込んできた一人の男子。
その顔を見たら、どうしてかちょっとホッとした。
「斉藤くんおはよ〜」
斉藤くんの登場に、4人組は「ウワッ彼氏だ…」と言いながら逃げていった。
予感はしてたけど、全校に広まっちゃってるんだ……。