「菜結、帰ったのか」
「っ、わ!」
家に入ってびっくり。
お父さんが部屋着で現れた。
スーツじゃない姿を見るのは久しぶりかもしれない。
「た、ただいま帰りました……」
ついこの間怒られたばっかりだから目をそらしてしまう。
「久々にあした、半日休みをとってね。明日は、お父さんが学校に送ってあげよう」
いったい何を言われるんだろうと身構えたのちの、そんなセリフ。
「え、あ……。でも、利人が迎えにきてくれてるし……」
「利人君にはさっき連絡したよ。生徒会が忙しいとかで……一緒に乗せていくと言っても断られてしまったけどね」
「……、そうなんだ」
胸がぎゅ…と狭くなる。
「親子水入らずを邪魔しないようにと気を遣ってくれたんだろうね。昔から変に遠慮する子だから……。利人君も家族のようなものなのに」