目を開けると真っ白な天井が見えた。右手を強く握られていることに気づき、右側を見ると奈緒がいた。
「...な...お...?」
俺の声とは思えない程小さな声。しかし今はそれ以上に声を出すことができなかった。
「れ...んと...?」
そんな小さな声を聞き逃さず、奈緒は俺が目を覚ましたことに気づいた。
そして泣きながら俺の身体に抱きつくのであった。
「れ...んと...。蓮都!」
俺の名を呼ぶ奈緒。母親も病室に現れ、驚いた顔をした後に泣いた。
あぁ、俺は帰ってきたのか。皆がいる場所に...。
そんなことを心の中で思いながら、俺は優しく笑った。