ゴール付近に着くと奈緒と新の姿が見えた。
「2人ともどこ行ってたんだよ」
朗らかな顔で言う新に思わずため息をつく。
「それはこっちのセリフだっての...」
俺の隣で香坂さんも苦笑いをする。そんな香坂さんの下に奈緒が駆け寄る。
「紫乃〜蓮都と2人で大丈夫だった?」
「うん。色々話せて楽しかったよ」
友達という訳でもない俺と2人で良かったのか心配だったため、楽しいと言ってもらえて安心した。
「どっかの誰かさんたちみたいに好き勝手に行動したりしないし、俺も楽しかったよ」
「なんだよ、俺たちのこと言ってんのかー?」
「ははっ」
「まぁいいや。早く戻ろうぜ」
そうして俺たちは宿舎に戻っていく。
前を歩く新と香坂さんについていこうとした時後ろから服を引っ張られた。後ろを見ると奈緒が俺の服を摘んでいる。
「奈緒?」
下を向いているため表情を見ることができなかった。何かあったのかと思ったが、すぐに顔を上げた奈緒は笑顔だった。
「なんでもない!行こっか」
そう言って新たちの方へ走り出す。
「なんだぁ?」
奈緒が何を思ったのか分からない俺は頭を掻き、前にいる3人を追いかけていった。