「君、弓道って経験ある?」

「いえ。初めてです。」

「そうなんだ。
うちは男ばっかりだからさ。
君みたいに可愛い子がもし入ってくれたら嬉しいんだけどな。」

...だから。

秌場くんは女子じゃないっての。

って、多くいる野次馬の中から突っ込みたいくらいだった。

「じゃあ、せっかくだし、実際にやってみようか。」

「よろしくお願いします。」

というか。

...どこで用意したんだ、
その派手な着物と袴。

「まずは俺たちがやってみせるからよく見てて。」

「はい!」

何人かの先輩が矢を打った。

さすがだな。

この学校、弓道は元々強いもんね。

朝の学校に程良い緊張感と高揚感が。

「最初は難しいかもしれないけど、慣れれば楽しくなるよ。基本の姿勢は教えるから打ってみようか。」

「はい。」

大丈夫かな...。

横で安澄がすごくニヤッとしたけど。

「ほら、よそ見しないで秌場くんを見たほうがいいよ。」

「え。」

「ここから先は瞬き厳禁ね。」

え...。

...。

なんだか、空気が張り詰めて...。