「そういえば、ルミアはどうした?
休暇だからこっち来たんだろ。」

「おにーちゃん?
今はどこか分かんないけどさっきまで近くにいたよ。」

すると。

「あ、どうも。
秌場さん、安澄さん、お久しぶりです。」

と、リテアによく似た男の子が歩いてきた。

「リテア、お前は足が早いな。探すのに手間がかかったよ。」

「だって、山からツカサがいたの見えたから嬉しくてつい走っちゃった。」

「連絡も寄越さないで心配したんだからな。

それで、秌場さん、この方は?」

「友人の河津さんです。」

「僕はリテアの兄のルミアです。
よろしくお願いします。」

「彼は河津さんと同じ人間ですよ。」

「そうなの?」

「僕にはヴァンパイアの適性がないから。」

「適性??」

「僕たち悪魔も、適性は幼いころに調べられることが多いですね。
ルミアさんたちは両親ともに吸血種ですが、たまに吸血特性が全くない子が生まれることもあるんだそうですよ。特に彼らは元々人間との共通点が多いのであり得る事情ではありますが、原因はまだ分かっていません。」

「逆に、秌場くんみたいに人間同士から急に悪魔特性発現して、覚醒しちゃうこともあるよね。」

「え、秌場くん、ご両親人間なの!?」

「はい。今は天国で仲良く暮らしていると思います。」

「そうなんだ...。」

「だからもしかしたらユナも突然悪魔になっちゃうかもねー!」

「そんなことは...。」

「まあ、ほとんどないと思うよ。
秌場くんが特殊すぎるだけだから。
器に選ばれるなんて人間ではまずないことだし。」

「器?」

「悪魔や死神、天使といった類でも、いつか絶命するのが原則なんだけど、一部に限って、新たな器を選ぶことによって無理やり生かすことができるんだよ。

まあ、魂を吹き込んで生き返らせるみたいなイメージ。とはいえ、人間だったら選ばれること自体普通考えられないし、万が一そうなったとしても耐えられずに肉体的にも精神的にも破滅して死んでしまう場合が多いよ。

なのに、秌場くんはどこをどうなったらそうなったか知らないけど、人間としての人格もしっかり生きてるし、先代の器となって引き継いだ悪魔的特性もしっかり受け継ぎながらも封じ込めてる。特殊にもほどがあるよ。」

「ねえ、アスミン、りぃその話難しくてよく分かんない。」

「秌場くんは特別な存在だって分かれば十分じゃない?」

「そっか。確かにツカサの血はすごく美味しいもん!特別な味がするの。」

「あまり飲むのはやめときなよ。
秌場くんは林檎食べてるんだから。どんな影響出るか分かんないよ。」

「大丈夫。舐める程度なら大丈夫ってママが言ってた。」

なんだかさらに複雑なことになってきた。

本当に安澄たちの家にお世話になっていいのだろうか。