「河津さん?
何を見てるんですか?」

「秌場くんがくれたブローチ...。」

「綺麗な色ですね。」

「私、贈り物なんてもらったことなくて。
正直、凄く嬉しい。それも、こんなに綺麗な宝石のブローチなんて。

私なんかに、似合うのかな。」

「...河津さんは、河津さんが思っているよりずっと素敵なんですよ。
ものは持ち主を選びます。」

「秌場くんがくれたものなのに?」

「はい。
合わないようなものであれば、自然と持ち主から離れていくものです。
手放すことを決めたとしても、そういうものですよ。それは逆もしかりです。」

「へえ...。」

まるで今はエメラルドのよう...。

「僕は自然と、これを河津さんに渡そうと思いました。だから、それで、河津さんが嬉しいって思ってくれて、僕はうれしいんです。」

「そっか。
つけてみたけど、似合うかな。」

「...かわいいです。」

「え?」

「とってもよく似合います。
それと、河津さんがはしゃいでるところ、初めてみたかもしれません。」

「そ、そう...?
そんなにはしゃいで、ないよ?」

「そうですかね?
もしかしたらはしゃいでるのは僕の方かもしれません。」

「そうだよ、絶対。」

はしゃいでる...か。