「いったぁ……なんなの?」




 先ほどの転倒よりも強い痛みに涙を浮かべながら、状況を確認する。




「いてて」


「!」



 仰向けになった私のお腹の上には、

私と同い年くらいの男の子が、何故かうつ伏せで覆いかぶさっていた。


 彼は痛みで顔を歪めながら地面に手をつき、上半身を上げる。


 私は押し倒されたような体勢でただただ目を丸くするしかなかった。


 状況が全く呑み込めない。



「やっぱりお前かよ」



 彼は視線を合わせると、大きくため息をつき、

心底がっかりしたような声で呟いた。


 なんだかよく分からないが、その態度には物凄く腹が立つ。

 何故痛い思いをした上にそんなこと言われなければならないのか。

ただでさえ私は機嫌が悪いのだ。


「とにかくどいてください。邪魔」


 彼の肩を押してみるが、彼は顔を歪めたまま動こうとせず、びくともしない。


「邪魔? お、ま、え、が、よけなかったからだろ?」


 彼は全く気にしていない様子で顔を近づけ、不機嫌そうな顔をしながら、

人差し指で私のおでこをつついている。


 突然上から降ってきといてよけろなんて無茶すぎる。

 そういえば上から降ってくるなんて、校舎から飛び降りでもしたのだろうか。