「苺か」
「え?」
訳が分からず眉を顰める私を見て、
彼は小さく意地悪そうに笑った後、背を向けた。
「もう高校生なんだから、もう少し色っぽいの選べよー、どんくさ愛生ちゃん」
背を向けたまま軽く手を振り校舎へと去って行く彼を呆然と見つめる。
「色っぽい? って」
そこでやっと自分の体勢に気づき、スカートを押さえて慌てて立ち上がった。
「最低!」
やっぱり噂通り顔だけの最悪な人だ。
みんな顔さえよければあんな奴でもいいんだろうか、私には理解出来ない。
「仕方ない、片付けよ」
重い体を上げ、散らばったゴミを拾ってゴミ箱に戻していく。
そういえばなんで辻元君は私の名前を知っていたんだろう。
まぁ、どうでもいいか、あんなパンツ星人。
そんなことを考えているうちにゴミ拾いは終わり、
辺りはゴミのない元の校舎裏に戻った。
