「あっ……」


「お、おいっ」



 慌てて手を伸ばす辻元君が視界の端から消える。


 上から舞い落ちてくるゴミ達を見て自分の状況をやっと理解した。


 私は石に躓いてバランスを崩し、不恰好に後ろに転けてしまったのだ。

 ゴミ箱からも手を離し、放たれたゴミ箱は宙を舞い、

地面に打ち付けられて中身は空に舞った、と。


 あちこちに痛みを感じながら体を起こす。


「いたた……」


 今日は本当についてない。


「おい、大丈夫かよ⁉︎ 頭打ったりとか」


 心配してくれると思っていなかったため、焦ったように駆け寄って辻元君に少し驚きつつ頷く。

チャラ男なわりにいいところもあるらしい。


「ちょっと擦りむいただけで大丈夫、です」


 それだけ言うと、彼は安心したように息を吐いた。

 かと思いきや、ある一点で彼の目の動きが止まり、表情が固まった。

 視線を私の顔に戻し何やら考えている様子の辻元君に目を(しばた)かせる私。