私の堕天使さま!



「狭い家だな」

「ほっといて」



 部屋に入った彼の第一声を聞き、入れなきゃ良かったと少し後悔の念にかられる。

 これでも3LDKの部屋だから広い方だと思うのだが。



「手洗ってきて。ご飯にするから」

「手? どこで?」

「そこ。お風呂場の前が洗面所」


 食器棚からコップを出しながら洗面所を指差すと彼はそちらへ向かって歩いて行った。

 コップにお茶を注ぎ、テーブルに運んで椅子に座って彼を待つ、ものの……。


「……遅い」


 手洗いから一向に帰ってこない。

 それどころか水の音すらしない。

 ため息をつきながら洗面所に行くと


「……」


難しい顔をしながら洗面所とにらめっこしている彼の姿があった。