「やっぱり帰ったん——」
念のためとドアを開いた私の手が途中で止まった。
「え……」
ドアを開けてすぐの、インターホンの下に
玄関で別れた時と同じ格好をした彼が座り込んでいた。
「なんで……」
いつもの私なら気持ち悪がるはずの状況なのに、
何故か今日はそんな気分にはならなかった。
今日だから?
それとも、彼だから?
不思議な気持ちになりながらじっと彼を見つめる。
彼は壁にもたれかかり、小さく寝息を立てて気持ちよさそうに寝ていた。
長い睫毛の整った顔、柔らかそうな髪の毛、綺麗な肌。
本当に……
「天使みたい……」
「ん……」
私が小さく声を漏らすとそれが聞こえたのか、彼が眠そうな目をゆっくりと開いた。
恥ずかしいことを述べたことに気づき、慌てて意味もなくあたりを見回す。
彼は欠伸をして目を擦りながら
「……ん……もう朝か?」
半分寝ぼけた様子で呟いた。
