「出来た」
皿にオムライスを盛り、入浴前に作っていたスープやサラダと一緒にテーブルの上に並べる。
並べてから気づいた。
やってしまった。
また2人分作ってしまった。
カレンダーの今日の日付が金曜日なのを確認し、ため息をついた。
金曜日は虚しい。
明日は楽しい休日なのに。
ふと玄関が気になりドアを見つめる。
「……バカみたい……いるわけないのに……」
なんだか心がざわつき、つけっぱなしにしているテレビに視線を移した。
この番組がやってるということは、もう20時。
家に帰ってから何分も経っている。
彼も諦めてとっくに家に帰っているはず。
そう思いながらも何かが引っかかり、私は玄関へと向かっていた。
リビングのテレビの音と、私のスリッパの足音が響いている。
そっとドアの覗き穴から外の様子を窺ってみた。
外には誰も、何も見えない。ただ、ライトに照らされた通路が写っているだけだ。
