「で」
「……? で?」
能天気な声にイライラしながら振り返り、きょとんとしている不審者、
じゃない、マイケル改め天羽大翔を睨む。
ゴミ捨てを終え教室に戻り、鞄を持って学校を出て家に向かい、
マンションの自分の部屋の前まで来たものの。
「いつまでついてくんのよ!」
何故か彼は私の後ろを一定の距離を保って、家までついてきていた。
私の訴えを全く気にしていないらしく、涼しい顔で彼は答えた。
「いつって……合格するまでだろ」
どうしてこうも会話が成り立たないのだろうか。
呆れつつ鍵を鍵穴に差し込み、重たいドアを開ける。
一緒に入ろうとする彼に出来るだけ睨みをきかせて呟いた。
「家の中まで入って来ないで」
「おまっ——」
何か喋ろうとした彼を無視して扉を閉める。
