「いや、そういうことじゃなくて。単刀直入に訊きますが、あなた何しに来たどなたですか」
「俺? 俺は……マイケルだマイケル」
その人、マイケルとやらは名前を名乗り、軽やかに笑った。
本気で答えてるのか、からかわれてるのか分からないような表情に
私の困惑度は増していく。
「ふざけてる」
「ふざけてねーよ。名前はマイケル。まぁ、名前なんてどうでもいい。大事なのは種族」
「種族?」
種族と聞いた瞬間、アフリカの民族が頭の中で賑やかに踊り始めた。
「俺は天使だ」
「……は?」
彼は自慢げに胸を張り、突如メルヘンチックな単語を発してきた。
この子、急に何を言ってるんだろう。
大丈夫だろうか。
さっき頭を打ったんじゃなかろうか。
「今は訳あって堕天しかけてる。元の天使に戻るには親父の出した課題に合格しなきゃならない」
「ぷっ……」
ぽんぽんと出てくる中二病チックな言葉に思わず吹き出してしまった。
「おまっ、信じてねーだろ!」
「あ、いや、その」
笑うのはさすがに失礼だったかもしれない。
けど、最初に失礼なこと言ってきたのはこの人だし、おあいこだよね。
とにかく、こんな変人ともう関わりたくない。
早くゴミを捨てて帰ることにしよう。
