かつて、この地球には人間を含めた様々な動物や植物が共存していた


全ての生き物がそれぞれ繁栄するためには定められたバランスを保つことが重要であり
例えば一つの種族で一強状態になったり
一つの種族に不利な環境が生まれたりしないよう
互いに見守りながら生きていた


そんな地球全体に広がる世界のことを住民たちは『リレーション・セントラル』と呼んだ


とは言っても国やら国境やらを知らないその世界において
生き物たちにとっての『リレーション・セントラル』とは世界そのもののことだった


生き物たちには
毎日彼らの繁栄に感謝し
また祈りを捧げる存在があった


リレーション・セントラルの中心に位置する石像


その石像には全ての生命の守り神が宿ると言い伝えられ
『ルーチェ』という名で崇拝されていた



そんな平和な世界で
均衡が崩れ始めたのは数百年ほど前のことだ


驚くべき進化を遂げて
独自の知能を使い
様々な新しいモノを生み出し始めた人間


人間はいつしか自らが生き物の頂上かのように振る舞い
地球の全てを変えかねない行動に出てしまう


人間の生み出した科学の力は決して悪ではなく
人間だけが得た素晴らしい力だと
リレーション・セントラルの者たちは信じて見守っていた


しかしその科学が時に生き物の生きる場所を変え
奪い
地球は変わっていった


変わりゆく地球をただ見ていることしかできない
残された生き物たちはルーチェに救いを求める
そしてルーチェがもたらした答えは


≪地球は常に動き続ける星であり
人間の命もまたそのひとつ
必ずここに残っている者たちと人間が
共存できる場所は存在するはずだ≫


というものだった


生き物たちもまた
人間がリレーション・セントラルを憶えている限り
人間は過ちを犯すことはないはずだと
そう信じた


しかし
人間はいつしか


リレーション・セントラルの存在自体を
忘れ去ってしまったのだった