「もしかしたら、職場でバレたのかもね。隠し子の存在が。それで、関係をはっきりさせろとか事務所のボスに言われたんじゃない?」

私はぴたりと止まった。それは有り得そうな話だ。認知もしていない隠し子を別れた女性が育てているなんて、弁護士としてあまり体裁のいい話ではない。
それならいっそ婚姻関係にしてしまえと思ったとか……。

「だとしたら、いっそうムカつきますね。完全自分都合じゃないですか」

私の怒りのオーラが見えたのかもしれない。阿野さんは「やばい」という顔になり、慌てて執り成してくる。

「あくまで私の想像よ。邪推ね、邪推。きっと彼は純粋な気持ちでまりあちゃんと店長に会いたいだけだと思うな~」

しかし、私の頭の中はすでに修二への疑いの気持ちでいっぱいになっていた。自分の身を守るために私とまりあを必要としているとしたら、最低最悪だわ。

ああ、まりあに会わせるなんて、やっぱり言うんじゃなかった。