翌日、私は早番で勤務だった。
まりあは昨日、昼寝から起きたら修二がいなくなっていて、めちゃくちゃに怒り泣きわめき、くたびれて寝てしまった。今朝は腫れぼったい目と顔で、やっぱり不機嫌だったけれど、またパパに会えるよと言うとひとまず機嫌を直してくれた。
いつ?と聞いてくる知恵はまだないまりあだ。ふたりのためにも近いうちにまた約束をすべきだろう。そうすれば、あと何回寝れば会えるのよと言える。
この点はなんだかちょっと悔しい。
ここまで育ててきた私や両親より、まりあの興味は突然現れたパパに移っているのだもの。

阿野さんには経緯を話しているので、朝の水揚げ作業をしながら昨日の出来事を話す。

「会いに来るっていうのは本気度高いね」

阿野さんはしみじみ言う。

「やっぱり復縁したい気持ちが強いんじゃない」
「まりあに会いたいだけみたいですよ。復縁は性急だったって謝ってましたから」

私はため息まじりに答える。昨日の決断が本当によかったのかまだ判じかねている部分がある。修二とは関わらずにまりあと生きていくつもりだったのに。

「でも、店長のご両親にも会うんだし、ご実家ってのはハードル高いわよ。絶対、本心ではいずれは復縁って思ってるわよ」
「そうですかねえ」

私はまたしてもため息だ。
ふと阿野さんが思いついたように言う。

「彼、店長とまりあちゃんのこと、職場で言ってないんでしょう」
「ええ、たぶん」