「どうか、月に一度、三ヶ月に一度でもいい。まりあに会わせてもらえないか。このまま会えないんじゃないかと不安になって、今日は来てしまった。本当に悪かったと思ってる。もう、こんなことはしない。だから………頼む」

修二は私に向かって頭を下げた。その態度は誠心誠意といった様子だった。
私は短く嘆息し、頷いた。

「……わかった。たまにでいいなら」
「ありがとう、ありがとう、陽鞠」

修二が私の手をぎゅっと握った。振りほどこうとしたけれど、私の両手を包み、額をつけて感謝している修二を雑に扱えなかった。
まりあに会えることが本当に嬉しいんだな。彼が最初からまりあの父親であれば、ものすごい子煩悩の親馬鹿だったに違いない。
そして、まりあの修二への懐き様を見ても、私の一存でふたりを引き離すのは不当なことに思えた。

「その代わり、会うならコンスタントに会って。この先、修二が誰かと結婚しても子どもが産まれても、まりあの父として関わり続けてね。そうしないとまりあを傷つけることになるわ」
「ああ、当然だよ。まりあの父親はこの世で俺以外いないんだから」

修二は本当に嬉しそうに破顔した。
これでよかったのだろうか。少なくとも、まりあは喜ぶだろう。
今はそれでよかったと思うしかない。