身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています

「よく食べるね」
「機嫌次第なのよ。嫌なときは徹底的に食べないし」
「じゃあ、俺といても不機嫌ではないってことか。それは嬉しいよ」

修二の安らいだ表情に、複雑な気分になる。なかなか本題を話そうとしないけれど、修二は大きなプレゼントなどを持っている素振りはない。やはり話というのはまりあの親権のことだろうか。過去に断った認知についてとか。
食事を終え、コーヒーを飲む頃にはまりあは修二の膝に乗ってご機嫌だった。保育園で習った歌を披露するまりあ。幸せそうに聞いている修二。幸せな父娘の構図が目の前で繰り広げられている。
私ばかりがどんどん不安になる。まりあがほしいと言われたら、私どうしよう。

「そうだ。まりあ、ちょっとお使いを頼みたいんだ」

不意に修二が言い、まりあの手に何かを握らせた。

「ママに渡してきてくれるかい?」

なんだろう。お使いを頼まれたまりあが意気揚々と私の下へ戻ってくる。

「まあま、あい!」

まりあから受け取ったのは小箱だ。その小箱の形状に、私はすでに驚いていた。

「開けてみてほしい」
「……待って、修二」
「見るだけ見てくれよ」

ぱかっと開けた箱には大粒のダイヤが輝くリングが入っていた。