身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています


日曜は高円寺のイタリアンだった。ネットで見ると、この前のフレンチよりカジュアルな店なので、服装はジーンズにニットにした。あまり気合いを入れて見せたくない。まりあにはニットのワンピースを着せる。ワンピースの類いは可愛くて買ってしまうけれど、保育園に行くときは着せられないので、こうしたお出かけには積極的に着せたいところだ。
電車とバスを乗り継いで行こうと思っていたら、約束の二時間前にタクシーが我が家に迎えに来た。修二が手配してくれたらしい。

「修二くん、気が利いてるわねえ」

修二贔屓の両親はニコニコしていたけれど、私はなんとなく嫌な予感。なんか、逃がすまいって感じしない?
まりあはタクシーに乗ってご機嫌だ。パパに会いにいくというのは、私じゃなくて母が説明していた。

「まりあ、今日はスパゲッティめんめんが食べられるよ」
「ぱぱもめんめしゅき?」

まりあはスパゲッティよりパパに会うことでいっぱいのようだ。そんなまりあの様子にもちょっと焦ってしまう。
まりあの世界にはママとじいじとばあばだけだった。そこにパパが強烈な光とともに入ってきてしまった。
嫌なんじゃないけれど、なんだか……。

「パパも好きよ」
「おいちいもんねえ」

絶妙に会話になっているなあと感じながら目的地へ向かった。