身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています

修二は優しく答える。

『パパはもう少しでお仕事が終わるから、そうしたらパパのおうちに帰るよ。パパはお夕飯カレーの予定なんだけど、まりあはのお夕飯はなんだい?』
「うどんめんめんよ」

そう言ってから、いかにも大人ぶって付け足すのだ。

「かれえもいいねえ。おいしいねえ」

パパと電話で会話しているのが誇らしくて特別な気分なんだろうな。その可愛い様子に私はくふふと笑いをかみ殺した。

『じゃあ、急いで帰らなきゃ。競争だね』

修二の言葉にまりあがジャンプして答えた。

「うん!」

スピーカーを切って私は修二に話しかける。

「ありがとう。まりあ、帰る気になったみたいよ」
『競争だから、急いで帰るだろ。まりあが寝る前にまた電話してもいいかな』

きっと他に用事があったのだろう。まりあの説得を優先してくれたのだ。

「そうね、競争に負けたって言ってやって」
『ああ、また後で』


修二と話して機嫌のよくなったまりあは、そこからは自分の足で歩いて家まで帰りついてくれた。保育園から大人の足で十分の距離だ。まりあでも歩けることは歩けるけれど、こうしてきちんとひとりで歩いてくれたのは初めて。
パパのパワーというものはすごいのだなと感心してしまう。
夕食を食べ終わった頃に修二から電話があった。

「まりあ、パパからだよ」

スマホを渡すとき、母が横にニマニマしているのが嫌な感じ。仕方ないじゃない。まりあと修二が勝手に競争なんかするから。