身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています

私は大の字のまりあを抱き上げ、せめてもと歩道の隅に寄って地面に下ろした。

「やーらーよー! まあま、あっちいけー!」

移動するとき、まりあが叫び、その声はばっちり修二に届いていた。

『お、まりあ、どうした?』

修二が嬉しそうな声音になる。
すかさずまりあは大の字のストライキ態勢に戻る。駅前の広い歩道だ。まりあが大の字で頑張っていてもすみっこなら迷惑にはならないだろう。服が地面に?そんなのは諦めたわ。

「帰るの嫌がってるの。今、道端よ」

ちょっと悪戯心もあって、私はひっくり返ったまりあにスマホを差し出した。修二にも聞こえるように言う。

「まりあー、パパから電話だよー」
「ぱあぱ!」

まりあがぱっと表情を明るくした。すっくと身体を起こし立ち上がり、私からスマホを受け取ると向かい合って喋り出す。

「ぱあぱ! まいあよ!」

耳をつけることがわからないまりあのためにスピーカーにしてみると、修二の声が響いてきた。

『まりあ、おうちに帰りたくないのかい? ママが困ってるよ』
「ぱあぱ。おうちかえゆの?」

まりあの質問の意図は本人にしかわからない。だけど、私にはこう聞こえてしまった。どうして、まりあのおうちに帰ってきてくれないの?って。そんなはずないのに。
私、想像以上に修二とまりあに罪悪感があるのかもなあ。