翌日は私もまりあも普通に平日の態勢だ。まりあは保育園、私は通し勤務で開店から閉店まで務めるので、まりあのお迎えは父にお願いしてある。
昨日の修二との再会は母子ともに疲れたみたい。帰ってから、私もまりあもぐうぐう昼寝をし、散々寝たのに、夜もよく眠ってしまった。
そして、まりあはまだ眠くて今朝は不機嫌だった。
「へえ、まりあちゃんのパパとねえ」
市場から運ばれてきた花を水揚げしながら、パートの阿野(あの)さんが言う。阿野さんは小学生ふたりのママ。私より六つ年上で、ママの先輩みたいな人だ。主に早番を務めてくれている。
「そうなんですよ。保育園でパパと会ったとか言っちゃったらどうしよう」
私は下処理をした切花をバケツに入れていく。花屋の仕事は力仕事に水仕事と、重労働が多い。
「いいじゃない。保育士さんもいろんなママ見てるから、そうなんだ~って流してくれるし、不要なことはこっちに聞いて来ないわよ」
「そういうもんですかねえ」
「それより、店長はどうなのよ」
阿野さんはニヤニヤしている。
「婚約までした男との再会でしょ? 胸に来る何かはなかったの?」
「ああ、ないですね。なんにも」
私はあっさりと答えた。阿野さんが「えー?」と残念そうな顔をする。
正直に言えば違った。
久しぶりに会った修二に、甘やかな感情が過ったのは間違いない。それはきっと修二に恋していた時間が見せる一瞬の魔法だろう。永続性のあるものじゃない。
だって、私は今こうして修二との対面を終えた後でも、また会いたいとは思っていない。終わった恋は綺麗な紙に包んで箱にしまっておけばいいのだ。箱を開ければ眺められるけれど、もう一度身に宿す気はない。
昨日の修二との再会は母子ともに疲れたみたい。帰ってから、私もまりあもぐうぐう昼寝をし、散々寝たのに、夜もよく眠ってしまった。
そして、まりあはまだ眠くて今朝は不機嫌だった。
「へえ、まりあちゃんのパパとねえ」
市場から運ばれてきた花を水揚げしながら、パートの阿野(あの)さんが言う。阿野さんは小学生ふたりのママ。私より六つ年上で、ママの先輩みたいな人だ。主に早番を務めてくれている。
「そうなんですよ。保育園でパパと会ったとか言っちゃったらどうしよう」
私は下処理をした切花をバケツに入れていく。花屋の仕事は力仕事に水仕事と、重労働が多い。
「いいじゃない。保育士さんもいろんなママ見てるから、そうなんだ~って流してくれるし、不要なことはこっちに聞いて来ないわよ」
「そういうもんですかねえ」
「それより、店長はどうなのよ」
阿野さんはニヤニヤしている。
「婚約までした男との再会でしょ? 胸に来る何かはなかったの?」
「ああ、ないですね。なんにも」
私はあっさりと答えた。阿野さんが「えー?」と残念そうな顔をする。
正直に言えば違った。
久しぶりに会った修二に、甘やかな感情が過ったのは間違いない。それはきっと修二に恋していた時間が見せる一瞬の魔法だろう。永続性のあるものじゃない。
だって、私は今こうして修二との対面を終えた後でも、また会いたいとは思っていない。終わった恋は綺麗な紙に包んで箱にしまっておけばいいのだ。箱を開ければ眺められるけれど、もう一度身に宿す気はない。



