肩透かしを食った気分。なんだ、てっきり母の言う通り誰かいい人でもできたのかと……。勘違いだったのね。
「陽鞠、今日は本当にありがとう」
修二は頭を下げた。
「まりあを産んで育ててくれてありがとう。この先も、よろしく頼む。離れているけれど、俺もまりあの父親でいてもいいかな」
「それは……もちろん」
修二が結婚するのではと思っていたので、今日が修二の父親としての役割の終わりでいいと思ってきた。あとは、まりあが大人になったとき、会いたいといえば連絡を取るくらいでいいと。
しかし結婚の予定もなく、まりあを愛する気持ちがいっそう深くなった修二を跳ね除けられない。
それに、まりあもとても楽しそうだった。
「また、まりあがもう少し大きくなったら、食事でもしましょう」
「……ああ、そうだな」
ホテルのロータリーで修二はタクシーに私たちを乗せた。埼玉の自宅までは結構かかるからいいと断ったけれど、どうしてもと言って、料金を多めに運転手に渡す。
「陽鞠、ありがとう。嬉しかったよ」
「いいえ、こちらこそありがとう」
私たちは握手をした。古い友人のように。
それから修二はまりあをぎゅうっと抱き締め、切ない表情で言った。
「まりあ、またね」
「ばばーい」
まりあは明るく修二に手を振った。
タクシーで自宅に帰るまでに、まりあはまた眠ってしまった。はしゃぎ疲れたようだ。可愛らしい寝顔を見て、私はほおとため息をつき、シートに身体を預ける。
修二の切ない表情がいつまでも胸に残っていた。こんなに可愛いんだもの。離れるのは、きっと身を切るようにつらいだろう。
修二はやはりまりあの父なのだ。離れていても間違いなく。
「陽鞠、今日は本当にありがとう」
修二は頭を下げた。
「まりあを産んで育ててくれてありがとう。この先も、よろしく頼む。離れているけれど、俺もまりあの父親でいてもいいかな」
「それは……もちろん」
修二が結婚するのではと思っていたので、今日が修二の父親としての役割の終わりでいいと思ってきた。あとは、まりあが大人になったとき、会いたいといえば連絡を取るくらいでいいと。
しかし結婚の予定もなく、まりあを愛する気持ちがいっそう深くなった修二を跳ね除けられない。
それに、まりあもとても楽しそうだった。
「また、まりあがもう少し大きくなったら、食事でもしましょう」
「……ああ、そうだな」
ホテルのロータリーで修二はタクシーに私たちを乗せた。埼玉の自宅までは結構かかるからいいと断ったけれど、どうしてもと言って、料金を多めに運転手に渡す。
「陽鞠、ありがとう。嬉しかったよ」
「いいえ、こちらこそありがとう」
私たちは握手をした。古い友人のように。
それから修二はまりあをぎゅうっと抱き締め、切ない表情で言った。
「まりあ、またね」
「ばばーい」
まりあは明るく修二に手を振った。
タクシーで自宅に帰るまでに、まりあはまた眠ってしまった。はしゃぎ疲れたようだ。可愛らしい寝顔を見て、私はほおとため息をつき、シートに身体を預ける。
修二の切ない表情がいつまでも胸に残っていた。こんなに可愛いんだもの。離れるのは、きっと身を切るようにつらいだろう。
修二はやはりまりあの父なのだ。離れていても間違いなく。



