「熱中症防止で、水筒持たせてるんじゃない。それに公園遊びだけじゃなくて、ショッピングモールも見てきたんでしょ。涼めるじゃない」
「いやあ……」
「まりあ、アイスでお腹いっぱいでお昼ごはんいらないなんて言ったら、ママ怒るからね」
「はーい、食べるよー」

相変わらず返事だけは立派なまりあだ。アイスなんか食べたら、お昼の焼きそばは絶対途中で「もうお腹いっぱい。パパにあげる」ってなるに決まってる。

「あ、ママ、たもつちゃん起きそう!」

まりあが言いベビーベッドを見ると、顔をきゅっとしかめて、今にも泣き出しそうな可愛い息子の姿がある。

「保(たもつ)くん、うるさくしてごめんね~」

私は先月出産したばかりの長男を抱き上げた。ふえふえ、と泣く寸前で顔をくしゃくしゃにしているのがまた可愛い。

「俺たちが出かけてから、ずっと眠ってたのか。寝る子は育つぞ。保は偉いなあ」

修二が感心している。横でまりあがぴょんぴょんジャンプして修二に言う。

「パパ! 私は? 私は寝る子だった?」
「まりあも結構寝てたなあ」
「じゃあ、背、伸びるかな?」

まりあは私似だから、そんなに伸びないかなあなんて思ったけれど、言わないでおく。案外修二に似たら、中学生くらいからぐんぐん伸びちゃうかもだしね。

「ママ、たもつちゃんのお尻クサイよ。オムツじゃない?」

今度は私に寄ってきたまりあが、くんくんと鼻を近づけて言う。

「あら、本当。まりあ、おしりふきの新しいパック、納戸から持ってきて」
「いいよー」