時間ギリギリまで私たちはベッドの中で過ごした。ケーキもワインも楽しんだけど、すぐにベッドの中に戻ってお互いの温度をもっともっと楽しんだ。
修二の指に唇に身体にとろかされ、私は自分がちゃんと女だったことを思いだした。
よかった。抱き合って、どれほどこの身体が懐かしく慕わしいか感じられた。修二に愛を刻み付けられるたび、幸せと喜びで全身が震えた。

「陽鞠、愛してるよ」

修二の声を聞き、心地よさに目を細めながら、私は答えた。

「私も愛してる」

そういえば、昔々、付き合ったばかりの頃、夢物語みたいに将来を語った。いつ頃結婚したいか。子どもは何人ほしいか。どのあたりに住みたいか。そのとき、自分はどんな仕事をしていたいか。
そんな中で修二が言った。

『もし、陽鞠と離れることがあっても、俺は絶対迎えに行くよ。何年かかっても迎えに行く』

それは若い恋人たちの戯言だった。いつかの不幸を語り、それに負けないと誓い合う可愛い遊びに過ぎなかった。
だけど、修二は迎えにきてくれた。本当に来てくれた。

「修二」

私は修二の首に腕を回して耳元でささやいた。

「迎えに来てくれてありがとう」