身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています

修二を連れてきたのは都内の外資系ホテルだった。かなりハイクラスなホテルなんだけど、修二は覚えているだろうか。

「陽鞠、ここ」

彼の表情を見て、ちゃんと覚えていることがすぐにわかった。私は苦笑いして見せる。

「うん、私たちが結婚式を挙げる予定だったホテル」

三年前、私と修二はこのホテルで結婚式を挙げる予定だった。私が結婚情報雑誌で見て『絶対ここがいい』と言い張ったところ。修二は私の我儘を聞いた形だったけれど、実際に見学をしてみて気に入ってくれた。『陽鞠とここで式を挙げられるのが楽しみだ』って言ってくれた。
結局、私たちが破局し、このホテルも結婚式の計画も修二がキャンセルしたはず。
だからこそ、お詫びとやり直しを兼ねて、今日修二の誕生日祝いに連れてこようと計画していたのだ。

フロントでキーをもらうと、修二はまた驚いた顔をする。

「レストランで食事とかじゃないのか?」
「そもそもお腹空いてる?」
「昼ごはんたくさん食べたからあんまり」

私はにっこりと笑って見せる。

「今日は特別プランなの」

セミスイートは高層階にあった。一歩室内に入ると、大きな窓から薄く暮れてきた都心の夜景が見えた。これからもっと綺麗に見えるだろう。
中央のテーブルにはワインとケーキがセットされている。私たちのチェックインからすぐに用意してくれたみたい。

「このセミスイートね。記念日やパーティー用に時間貸ししてくれるんだ。ちょっと素敵でしょ」
「すごいな」
「えっとね、まだあるの」

私は持ってきたバッグを開ける。