居酒屋を出ると、修二が迎えに来ていた。明日が引越しなので、荷物はすでに引越し業者に預けて、本人は夜に私の実家に泊まりにやってきていた。お開きのタイミングでメッセージは送ったけど、迎えにくるとは過保護だ。

「皆さん、今日はありがとうございました」

私の横に立ち、スタッフに挨拶をする修二は、バリバリのイケメン弁護士の営業スマイルだ。
祝福の言葉や、店長の旦那さんイケメンなどなどのありがたいお言葉をかき消すように、佐富くんが言った。

「店長とまりあちゃんを絶対に幸せにしてくださいよ!」

酔っているせいか、いつもより強気の佐富くんに、修二が余裕たっぷりに微笑み返した。

「ええ、もちろん」



家までの帰り道は、修二と並んで歩いた。

「修二、なんで迎えに来ちゃうかな~」
「え? まりあは寝かしつけてきたよ。布団に運ぶのは、お義母さんにお願いしちゃったけど」
「そうじゃなくてさあ」

私は苦笑いになる。修二もにっと口の端を引いた。

「いやあ、だって入籍直前だし、あの佐富青年が最後の悪あがきを仕掛けてくるかもしれないだろ? 心配だったんだよ」

何をおっしゃる。心配というか、圧をかけにきただけじゃない。
まあ、愛されてる実感はありますけど。