「修二……」
「パパぁ!」

まりあが転がるように修二に飛びつく。修二は片膝をついて受け止め、私に向かって花束を差し出した。

「陽鞠、誕生日おめでとう。本当は陽鞠のお店で買いたかったんだけど、今日休みだからさ」
「……仕事は?」
「半年も前から休み取ってました。陽鞠の誕生日だから。気持ち悪いだろ、俺」

そう言って、はにかんだ顔は少年みたいだ。

「なんでここにいるの?」
「お父さんとお母さんから事前に聞いてたんだ。ここに遊びに来るって」
「会いに来ちゃったの?」
「ああ、ふたりのピクニックを邪魔にしきた」

我ながら間抜けな顔をしていると思う。質問も今しなくてもいいでしょというものしか出てこない。
おそるおそる花束を受け取ると涙がはらはらと溢れてきた。

「私……、修二と向かい合うのを拒否してた。また同じことを繰り返してしまった」
「俺も陽鞠の不安も考えずに楽天的すぎた。勝手だったよ。でも、今度は三年じゃなくて半月で迎えにきた。もう、離れているのはつらいってわかっちゃったから」

修二が腕を伸ばし、まりあを挟む格好で私を抱き寄せる。