東京駅が見えてきた。観光客が多い日曜の駅前。人混みを避けるように歩道の端を進みながら、私たちは別れを惜しむように歩調をゆるめていた。
「陽鞠」
そのとき、修二が口を開いた。
「陽鞠、頼みがあるんだ」
「なに?」
修二は言おうか迷った様子だった。それから、心を決めたのか私を静かに見つめた。
「まりあの戸籍謄本を取ってほしい」
「……え?」
「まりあを認知したいんだ。認知届を出して、戸籍の上で、俺の娘であると証明しておきたい」
私は凍りついた。認知。ずっと断ってきたまりあの認知。
ここにきて、私との結婚ではなく、どうしてまりあの認知について言いだしたの?
「この先、俺に何かあったとき、まりあにお金を残してやりたい。相続をスムーズにしてやりたい。また、もし陽鞠に何かあったとき、親権者として俺がまりあを守れる。もちろん、これは陽鞠が俺を親権者のひとりに定めてくれる必要があるんだけれど」
熱心に説明する修二の言葉が遠くハウリングして聞こえる。
私と結婚したいんじゃなかったの?
結局まりあの親権がほしいだけなの?
私は修二とやり直す未来を考え初めていた。まりあを挟んで、もう一度夫婦になりたいと願っていた。お互いの悪いところも、良いところも認めあって、頑張っていきたいと思っていた。
それなのに、修二がほしいのは結局まりあだけなの?
「……認知したら、私と結婚する必要はないね」
「陽鞠?」
修二は私の空気の変化に気づいたようだった。
「陽鞠」
そのとき、修二が口を開いた。
「陽鞠、頼みがあるんだ」
「なに?」
修二は言おうか迷った様子だった。それから、心を決めたのか私を静かに見つめた。
「まりあの戸籍謄本を取ってほしい」
「……え?」
「まりあを認知したいんだ。認知届を出して、戸籍の上で、俺の娘であると証明しておきたい」
私は凍りついた。認知。ずっと断ってきたまりあの認知。
ここにきて、私との結婚ではなく、どうしてまりあの認知について言いだしたの?
「この先、俺に何かあったとき、まりあにお金を残してやりたい。相続をスムーズにしてやりたい。また、もし陽鞠に何かあったとき、親権者として俺がまりあを守れる。もちろん、これは陽鞠が俺を親権者のひとりに定めてくれる必要があるんだけれど」
熱心に説明する修二の言葉が遠くハウリングして聞こえる。
私と結婚したいんじゃなかったの?
結局まりあの親権がほしいだけなの?
私は修二とやり直す未来を考え初めていた。まりあを挟んで、もう一度夫婦になりたいと願っていた。お互いの悪いところも、良いところも認めあって、頑張っていきたいと思っていた。
それなのに、修二がほしいのは結局まりあだけなの?
「……認知したら、私と結婚する必要はないね」
「陽鞠?」
修二は私の空気の変化に気づいたようだった。



