身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています

「寝かしつけがいらないなんて奇跡」
「これからこうやって自分ひとりで寝てくれるのも増えるんじゃないか?」
「そうかもねえ」

私たちはまりあを眺めながら、お茶を飲んだ。目覚めたら日本橋や東京駅のあたりまで散歩して、帰る予定だ。

「帰ってほしくないなあ」

修二が子どもみたいな声をあげ、大仰にため息をついた。

「まだいるわよ。帰るのは夕方」
「もうすでに寂しい」
「気が早いってば」

修二が両腕を広げる。寂しげな表情で待たれてはたまらない。おずおずとその中に身を寄せた。
ぎゅうと抱き締められれば心地よくて幸せで眩暈がする。
誰かに抱き締めてもらうことって、ずっとなかったなと思う。こんな感触、忘れてしまっていた。

「一緒に住んでいた三月って本当に贅沢だったんだなって思うよ」
「うちの都合じゃない。修二には迷惑かけました」
「だから、迷惑じゃなかたって。俺、毎日幸せだったよ。陽鞠とまりあと一緒で」