身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています

「はじめからまりあちゃんの父親の立場に執着していたみたいじゃないですか。店長との結婚は穏便にまりあちゃんを娘にする手段だと思います。その後、店長と離婚するとき、親権を主張してまりあちゃんを奪うつもりなのかもしれませんよ」

私は困ったように笑った。

「彼は弁護士だからね。まりあだけがほしければ、もっとスマートなやり方を選ぶんじゃないかな」

答えながら、裏腹に心臓がどくんどくんと脈打つのを感じた。
修二は確かにまりあの父親という立場に固執している。それはまりあへの愛ゆえなのは間違いない。
だけど、その愛と私への愛はイコールで結べない可能性もあるにはあるのだ。
佐富くんが厳しい瞳で私に問う。

「百パーセント自信がありますか? まりあちゃんを奪われない自信」

わかってる。佐富くんは掻きまわそうとしているだけ。
若者らしい情熱と、子どもっぽい感情で、私と修二の結婚に水を差したいだけ。

わかっているのに、揺れてしまう私がいる。
修二は言ってくれた。『陽鞠に会いたかったから連絡した』って。
それを信じたいし、実際強く信じているのに、心の中にもくもくと黒い雲が湧いてくるような感覚があった。

もし、彼がまりあだけが欲しくて、私をたぶらかそうとしているとしたら、簡単に結婚に応じてしまうのは危険だ。
いや、修二に限ってそんなことがあるはずない。

「俺は、あんまり祝福できないです」

佐富くんが渋い顔で言った。私はか細く「ごめんね」と答えることしかできなかった。