身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています

「まりあはパパが大好きみたいなんです」

私は苦笑いした。この点だけはいつも修二に嫉妬してしまうけれど、仕方ないよね。まりあは本当に修二が大好きなんだから。
帰り道、まりあはベビーカーに座って歌を歌っている。

「まりあ、パパにプレゼント作るんだって?」
「そうよ」

私が話しかけるとこっちを見上げ、なんでもないことのように答える。

「パパに渡しに行かないとだね」
「んーん、ケーキをちくってからね。やくそくしてるからなのよ」

ああ、わかったぞ。父の日のプレゼントを渡そうと思ったら、六月の半ばまでパパに会えない。
日付はわからなくても、パパと会うのが先になってしまうのは感覚的にわかるのだろう。それより先にケーキを作ってあげる約束をしたから、パパに会いに行こうってわけだ。
頭がいいわ、私の娘。

「まりあはパパが好きだもんねえ」

私が言うと、まりあはきょとんとして尋ねた。

「ママは? パパしゅき?」

まさかそんな返しがあると思わなかった私は、娘相手に少々狼狽した。
ええと、なんと答えよう。いや、ごまかすのも変よね。
私は悩んでから答えた。

「うん、好きよ」
「まりあといっしょだねえ」

まりあは私の答えに満足したようだった。また歌の続きに戻る。
好き、私は修二を好き……。
言葉にすると恥ずかしくて、ベビーカーを押しながら頬が熱くなるのを感じるのだった。