お迎え時刻の保育園に入ると、保育士たちの元気な声が出迎えてくれた。

「おかえりなさーい」
「まりあちゃん、お迎えでーす」

まりあが二歳児フロアからぱたぱたと駆けてきた。

「ママ!」
「まりあ、ただいま~」

飛びついてくるまりあを抱き上げる。うんうん、日に日に重くなっている気がするなあ。最近、前より意思の疎通もしやすくなったし、まりあはしっかり成長してる。

「まりあちゃんのお母さん、ちょっとお伺いしたいのですが」

担任の先生が話しかけてきた。

「今度、父の日におうちの人向けに似顔絵付きのメダルを贈るんです」
「ああ、そんな時期ですね」

この保育園では母の日、父の日、敬老の日などに家族向けに園児が工作を作る。各家庭で家族の事情は違うので、あくまで『おうちの人へ贈る』スタイルで、昨年まりあはうちの父宛にメダルを作成していた。今よりもっと小さかったので、メダルにピンクの絵の具で手形を押しただけだったけれど。

「あの、まりあちゃんがお父さんに作りたいと言っているんです」

なるほど、先生たちは我が家の特殊な事情も考えて、相談してくれているのだ。
私は軽く答える。

「いいですよ。パパ、喜ぶと思います」
「よかったです! まりあちゃん、最近調子も戻ってきたみたいで、元気いっぱいで。お父さんのお話もたくさんしてくれるんですよ。出てくる言葉も増えたみたいで」

修二と頻繁に会えるとわかったせいか、一時期元気がなかったまりあは明るさを取り戻している。先生の言うとおり、語彙がぐっと増え、コミュニケーションがうまくなった。情緒の安定や、修二とのお喋りの刺激なんかが関係しているのかな。