修二とやり直すのは勇気のいることだ。だけど、修二を大好きだった気持ちを取り戻した私にとって、それは必要な勇気と覚悟。
まりあのためだけじゃなく、私自身のために修二といる未来を選んでみたい。
もう一度、やり直してみたい。

とはいえ、簡単には踏み出せない事情もある。現実問題、住む場所や仕事、まりあの保育園などをどうするか決めていない。うちの両親は賛成だろうけれど、修二のご両親はなんというかわからない。
修二がこの先どうしたいかもわからない。
すぐに同居したいのか、まりあが小学校にあがるまで待つつもりなのか、入籍だけ先にしたいのか、結婚式についてはどう思っているのかなどなど……。

でも、これらのことを相談するときは、プロポーズOKの返事の瞬間になってしまう。だからこそ慎重になってしまうし、タイミングを図りかねているというのもある。

「まあ、仲良くやってるならいいのかもね。一気に進展するよりのんびり進展するドラマの方が見ごたえあるし」

阿野さんは完全に娯楽として楽しんでいる。私は顔をしかめて答えた。

「人の家庭で楽しまないでください」

何もかも決まったら、ちゃんと報告しますからね。心の中だけで呟いた。