私はごくんと生唾を飲み込む。
覚悟を決めろ。
昨日までの私の決断は、安全策でしかない。
もう一度、勇気を出せ!

「傷つけ合っても、お互いが嫌になっても、諦めず逃げ出さず、必ず向き合い続ける。そう決めたら、……私たちはやり直せるのかもしれない」

私と修二が三年前に選べなかったこと。
今、選び直す。

「陽鞠、それは……」

修二が信じられないという表情で私を見る。目が潤んでいるのがわかる。

「ちょっと待った! まだ可能性の段階だから! 検討の余地ありってだけどから!」

私は怒鳴って修二の言葉を遮った。それから、今度は散々迷ってから、両腕を修二に向かって広げた。

「ん」
「え?」
「今日は栄養剤をドーピングに来たの。さっさと来なさいよ」

私の言葉が終わるか終わらないかのうちに、修二の腕が私を引き寄せた。熱烈に抱きしめられ、小柄な私は息もできないほどだ。

「陽鞠、好きだ。大好きだ」
「痛いって、もう!」

叫ぶ私の唇をキスで塞いで、修二は抱擁を強くする。

「しゅ、……うじ、んん」

私はその背に腕を回し、何度も何度も撫でた。
愛おしいと思った。蓋をしてきた気持ちが、小さな箱から溢れ出すのを感じる。
きっと箱に結んだリボンをほどいたのはまりあ。蓋をずらして呼びかけてくれたのは修二。

ああ、ちゃんと覚えてる。修二のキスも、修二の温かさも。
私がこの人をどれほど愛したか。どれほど大事だったか。離れる時、身を切られるほどつらかったか。
私たち、やり直せるかな。三人で、今度こそ。

「キスとハグまでだからね!」

私は修二の髪をくしゃくしゃまぜっ返しながら、念を押した。