身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています

『まりあは来月で二歳半、このまま会わずにまりあが大人になるのは、俺も寂しいものがあります。離れていても、お金の補助しかしていなくても、まりあは大切な娘だと思っているからです』

それは真剣な嘆願だ。父親が娘に会いたいと願う文章だ。

『陽鞠はいい気持ちはしないだろうと思います。だけど、後生です。一度でいいので、まりあに会わせてほしい。できれば、抱き上げさせてほしい。まりあと会うのは俺の夢です』

修二の文章からは哀切さえ漂ってくる。
まりあをちらりと見る。愛らしい天使のような私の娘。修二は写真でしかこの子を知らない。自分に似ていることは理解しても、実際にこのふくふくのほっぺに触れることも叶わないし、鈴を転がすような愛らしい声を聞くこともないのだ。
それは確かに可哀想な気もする。

『どうか考えてみてください。陽鞠さえよければ、俺の方で会う場所をセッティングします』

手紙はそう結ばれ、修二の携帯電話の番号とメッセージアプリのIDが記されていた。別れた三年前と変わっていないことに気づいた。
携帯でやりとりすることはなかったけれど、まりあに何かあったとき、すぐに連絡がつくように変えないでおいたのかな……そんなことを考えてしまう。