身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています

てちてち走り回っているまりあを後目に立ったまま封筒を開ける。中にはいつもの内容証明と一緒に便箋が入っていた。手紙のようだ。
あとで読もうか……一瞬悩んでからすぐに読むことにした。今更修二に何を言われても動揺しないし。

『陽鞠へ』

手紙の筆跡は懐かしい修二のものだ。

『久しぶり。元気にしていますか?
陽鞠と別れて三年が経ちました。
俺たちの娘を大事に育ててくれていることに感謝します』

そんな書き出しに「ケッ」と意地悪な顔をしてしまう。お金払って父親気取りはやめてほしいわ。あと、俺たちのって言い回しがなんか嫌。

『まりあは本当に大きくなりましたね。クリスマス会の写真、ありがとう。保育園で楽しそうにしているのも安心しました』

保育園のクリスマス会の写真を送ったけど、あれは保育園側が間違って多くプリントしたものをくれただけで、私がわざわざ手配したわけじゃない。確かにサンタ帽をかぶったまりあは世界一可愛かったけれど。

『陽鞠に頼みがあります。一度まりあに会わせてほしい』

そこまで読んでびくっと肩を揺らしてしまった。
まりあに会いたい? そんなことを言い出すなんて思わなかった。今の距離感で満足しているんじゃなかったの?