身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています

「まま、いいよ」

たぶん、私が泣きそうな顔をしていたからだろう。まりあは私に腕を伸ばし、頭をぎゅうと抱き締めてくれた。

「まま、ケーキちゅくろうねえ」

子どもは想像以上に親の顔色を見ている。まりあは、今、パパに会いたい気持ちをぐっとこらえて、私を慰めてくれた。そのことに余計に申し訳なさが募る。

「ありがとう、まりあ」

私は愛娘をぎゅうと抱き締め返した。
このままではいけない。
その日の晩、私は修二に連絡を取った。




ゴールデンウィークがやってきた。
とはいえ、私の仕事は連休に休みになる仕事じゃない。
休みは飽くまで通常通りだし、五月は母の日があり、花屋は忙しい時期なのだ。
五月の頭、修二が再び我が家にやってきた。私が仕事の土曜日に、両親と一緒にまりあの面倒を見てくれることになったのだ。
うちの両親が一緒では気まずいかと思ったら、修二は全く問題がないという。

「むしろ、助けてもらえるからありがたいよ。ひとりで見ていたときは、まりあがトレパンを汚したり食べ物まき散らしたりするたび、大騒ぎだったから」

あらあら、その節はお世話になりました。
半月ぶりの父娘の再会は傍で見ていて涙が出そうに感動的なものだった。まりあはパパの顔を見るなり駆けて行き、ふたりはしばらく無言でひしと抱き合っていた。ふたりとも会いたくて会いたくて仕方なかったんだということが伝わってくる。

「ぱぱ、いる? ずっといる?」
「今日と明日はまりあと一緒だよ」

修二の言葉にまりあはやったーと歓声をあげた。