身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています

「まりあちゃんを愛せると思います。自分で言うのもなんですが、寛容な方だと思いますし。和谷先生と私でまりあちゃんを必ず幸せにしますから、お任せいただけませんか?」

彼女の意欲に満ちた言葉。私は暫時無言になった。
それから、大きく息を吸い込み、怒鳴った。

「ふざけたこと抜かしてんじゃないわよ――――!!」

怒声はコーヒーショップ中に響き渡る。
当然、客が私たちを見る。うるさくして申し訳ないとは思いつつ、ここで怒らずいつ怒る。私は立ち上がり、矢沢さんを睨みつけた。

「勝手に人の娘の未来を決めてんじゃないわよ! まりあは私の娘! あんたには一ミリも関係ない! なあにがお任せいただけますか、よ! お腹痛めて産んだ可愛い娘を知らない女に渡すわけがないでしょうが! 母親なめんじゃないわよ!」
「で、でもですね、私と和谷先生が結婚した場合には正式に親権について……」

食い下がる矢沢さんに私はとどめの一撃。

「そんな話をする前に修二に告白して振られてこい!」

私は自分のトレーを持ち、ズンズン下げ台に進む。モーセの十戒のように人が割れた。
うう、お店から近くて便利だったのに、当分このコーヒーショップには来られないわ。
矢沢さんの方を一度も見ることなく、自動ドアから外へ出た。
散り際のさくらがびゅうびゅう嵐のように私の周りを逆巻いて、まるで今の私の怒りを表現しているみたいだった。
はあ、気持ち切り替えなきゃ。こんなことで仕事に影響してられない。素敵なアレンジメントを作るんだ! あの依頼主が笑顔で渡せるようなお花!
英語を活かせなくても私は今の仕事が好き。私は自分の選んだ未来が好き。
誰にも文句は言わせない。