身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています


それから二日、土曜の昼時のことだ。店は混み合い、私はブーケを立て続けに三つ作り、接客も連続という状況だった。とても忙しい。

お花を贈るのは、形式的な部分もあるかもしれない。プレゼントに悩んで、他に思いつかなくて……なんてこともある。だけど、花をもらったら大抵の人は嬉しいものだ。大事な人が綺麗な花でふわっと表情をほころばせるのを見たいというのは、一番素直な気持ちだと思う。誰かの素敵なひと時のお手伝いができる花屋って仕事は、いい商売だ。
まあ、綺麗なだけじゃなくてかなり重労働なんですけどね。冬場はあかぎれだらけになるし、重たい鉢を持ち上げて腰を痛める人もいる。体質に合わない花の世話をして皮膚がかぶれてしまう人だっているもの。

今日は昼休憩が厳しいかもなあと思いながら、アレンジフラワーの依頼を受ける。見た目がアジアンだから日本の方かと思って日本語で応対したけれど、依頼主の男性は片言の日本語で説明してくる。これは英語の方がいいかも。
私が英語に切り替えたら、依頼主はほっとしたように話しだした。おお、持っててよかった英語スキル。頻繁に使わないと忘れてしまう部分も多いけれど、日常会話程度なら問題ない。
どうやら、奥様の伯母さんの米寿のお祝いに持って行きたいそうだ。普段はシンガポールでお仕事をしていて、日本は奥様の母国だとのこと。

約束の十五時までに仕上げる約束をし、依頼主を見送った。突然声をかけられたのはその時。

「英語、お得意なんですね」