カーテンの向こう側で、無数の星が瞬いていた。
王室にあったような、埋もれるベッドの上で目を閉じても、どういうわけか眠れない。
ここのところ、自分から寝ようとして寝てないように思える。
ベッドに入って数時間目をつぶっても、目が逆にさえていく。
月明かりでさえも、眩しく思えてならない。
カスクライ王国で過ごした7年間。
本当の父親と信じて疑わなかったラーバン王。
実を言うと、今でも父親としか思えなかった。
…あんなに裏切られても、確かな7年間は消えない。
こんな事を考えている自分に、嫌気がさす。
俺は勢いよく起き上がり、足早にでも静かに部屋を出た。
隣のレベッカがいる部屋は、まだ明かりがついている。
向かう先は、ラクトンの部屋だった。
ずっと気になってないようで気になってた事を、ラクトンなら答えてくれるかもしれない。
寝る前に教えてもらった部屋のドアをノックすると、中からラクトンの声が聞こえた。
「…レディックです」
「どうぞ、入ってください」
部屋に入ると、窓に面した机に座ったラクトンが振り返っていた。
小さく丸い眼鏡をかけて、本とノートを開いている。
「今時間いい?忙しい?」