たしかに、セックスはもうずっとしていなかった。

だけどべつにケンカしたりとか、どちらかが浮気したりとか、そんなことはなくて。

いや、あたしが知らないだけで大輔はしてたのかもしれないけどでもそんな気配はなかったし、そもそも不器用で、バカみたいに正直な大輔があたしに隠れてこそこそ浮気なんてできるはずがない。


すれちがいの生活だったけれども、体の関係こそとぎれていたけれど、それなりに心は通わせていたつもりだ。

休日はふたりでしめしあわせて、いっしょに遠出したり、買物に出かけたり、昼からビールを飲みながらだらだら家でDVDを見たりしていたわけで。

あたしたちがちゃんとした恋人同士として成り立っていた、というのはあたしの錯覚だったんだろうか。

あたしだけがかんちがいして、もりあがって、調子に乗ってただけなんだろうか。