同棲してるなんてひとに話すと、毎日べったりして濃密な関係を築いているように思われるみたいだけど、あたしたちは最初からずっとこんな調子だった。いっしょに住んでも住まなくても同じじゃないかと思えるぐらい。

それでも、生活の場をともにする、わかちあう、という行為は、あたしにはなんだかくすぐったくて、すごく大切なことだった。


そんな大輔が、いきなり改まって話があるという。


これは、もしかしてもしかすると。


プロポーズ、ってやつだろうか。


「そうだな、今日は雨降ってるし、平日だからたぶん早退できると思う。あ、ごはん食べにいこっか?」

自然と頬がにやけてくるのをこらえながら、あたしはトーストを口いっぱいにほおばってもごもご答えた。

バイトの最中にも、気づくと頬の肉がとろけてしまいそうになってきて、平静を装うのがたいへんだった。

「白川さん、今日、いつにも増してきもい……」

あたしの異常を察したのは、同僚の倉持くんだけで、まるで気味の悪いものでも見るようにあたしを見た。倉持くんの冷ややかな視線には慣れているのでまったく気にならなかった。というか、気にしちゃいられなかった。