婚活を始めたら、龍を捕まえました【完】

帰りの新幹線で、龍さんは、翔馬とのことを説明してくれた。

龍さんのお母さんのお姉さんが、翔馬のお母さんだということ。

病院の跡取りが必要なのに、病気で子宮を摘出することになり、子供を産めなくなったこと。

そんな時、龍さんたちが双子だということが分かり、弟を養子にと頼まれたこと。

「じゃあ、生まれる前から、片方が養子に行くことが決まってたの?」

それもなんだか可哀想。

「そう。でも、子供が欲しくて仕方なかった夫婦のところへ行くんだから、目一杯愛情を注いでもらえることは分かってたし、経済的にも、うちより恵まれてたから、どちらが幸せとも言えないだろ?」

それは、そうかも。

「じゃあ、双子なのに名前が全然違うのは、それぞれのご両親が付けたからなのね?」

双子っていうと、よく似た名前を付けることが多いのに。

「くくっ、いや、名前だけはうちの両親がつけてるよ。だからお揃いだろ?」

え? どこが?

私は理解できなくて首を傾げる。

「どっちも空を飛ぶ空想の生き物、ドラゴンとペガサスだよ」

っ!!

私は思わず、息を飲んだ。

「ほんとだ!」

そんなの、言われなきゃ分かんないよ。

でも、素敵な繋がり。

別々で育っても、空を翔けて繋がることができるように願いを込めたのかな?

龍さんは、私の手を握って言う。

「で、結乃、なんで、翔馬は呼び捨てで、俺は龍さんなんだ?」

「えっ?」

だって、最初にそう呼び始めちゃったから、なんとなく……

「龍さんは、呼び捨ての方がいいの?」

私が龍さんを見上げると、龍さんはニッと笑う。

「ま、家族はみんな呼び捨てだからな。結乃は、俺の家族になるんだろ?」

そっか。

私、龍さんの家族になるんだ……

じゃあ……

「龍?」

すると、龍さんは嬉しそうに笑みをこぼしたかと思うと、チュッと私の唇に触れるだけの軽いキスを落とした。

「りゅ、龍! ここ、新幹線の中!」

「そ! だから、結乃、騒いじゃダメなんだぞ」

私は、開いた口が塞がらなくて、パクパクと言葉にならない抗議をするのみ。


……でも、そんな龍も、私は大好きなのよね。


だから、一生、一緒にいてね。



─── Fin. ───



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