ヨーロッパを思わせるような街並みが広がるこの世界は、日本やアメリカがある世界ではない。異世界、そう呼ぶ方が正しいかもしれない。

その世界では、平均寿命も日本がある世界とは比べものにならないほど長く、千歳を越えても若々しく生きていられるのだ。

そんな世界には、人間を小説の中に召喚して小説を書かせたということで話題になった小説家がいる。その名はミーナ・シャネル。

有名になった彼女のもとには、多くの小説家になりたい人が集まるようになった。これはその中の一人の小説家見習いの物語である。



人気作家であり、とあることで世間の注目を浴びたミーナの住む豪邸には、土曜日に大勢の人が集まる。それは子どもから大人まで幅広い年代の人たちだ。

「今日こそ認められるといいなぁ」

赤毛の髪をツインテールにし、そばかすのついた顔を赤らめながら女の子が呟く。白いレースのついたベージュのワンピースがふわりと風で揺れた。