泣いている彼女へ一歩踏み出す。

これ以上、言葉で伝えることは俺にはできないから、


 小さな体を抱きしめた。


 涙にぬれた彼女のまつげが夕日に照らされているのが見えた。

 その瞬間、はっきりと自覚した。

 彼女の理知的な瞳が、
 大人びた笑顔が、
 多くを背負った小さな背中が、
 強すぎる責任感が、
 今流していた悔し涙が、


 どうしようもなく好きだということを。