家に帰って2人でベッドに並んで横たわる。

「奏多、ありがとう」

「いきなりだな」

「式出来てすっごくすっごく幸せなの!」

「非公式だけどな」

「それでもいいの!」

「ちゃんとしてやれなくてごめんな」

「謝るの禁止!私は幸せだからいいの!」

「わかったわかった」

「でもさ、私達入籍してるし夫婦でよくない?」

「いやいや、入籍っつか元々一緒なだけじゃん」

「じゃあ恋人?夫婦じゃないし、兄妹もなんか違うし」

「何でもよくね?呼び方とか」

「えー!何か決めようよ!」

 これから先、あげればキリがないぐらい大変な事があるだろうけど、2人ならやっていける、春歌さえ居てくれるなら大丈夫だと思える。

 僕が居て

 春歌が居る

「ん〜じゃあ【ハルカカナタ】でどうだ?」

「え、センスゼロかよ、しかもなんか遠そうじゃん」

「昔母さんに聞いたんだけど、遥か彼方って距離だけじゃなくて時間の意味もあるらしくて、何時迄も仲良くって意味も込めて春歌奏多にしたらしいぞ」

「漢字違うじゃん」

「だから『も』って言っただろ?春の歌を奏でる様にってのが表向きだってさ」

「何それ、やっぱセンスゼロかよ」

「いや、お前それ父さんに言えよ?」

「無理無理!」

 ずっと2人で何処までも

 ずっと2人でいつまでも

 だって僕達は元々1つだったんだから

「好きだよハルカ」

「ん、私も好きだよカナタ」

 僕達は2人で1つ

 だから

 【ハルカカナタ】




              おしまい